小山高専数学談話会
Math Colloquium at National Institute of Technology, Oyama College


Speaker: 佐々木大輔(Daisuke Sasaki)氏(埼玉大学)

Title: 接触リーマン多様体におけるHermitian-Tanno接続とBochner型の曲率テンソルについて

When: 2018年1月26日(金) 16:10-17:00

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Abstract : 接触リーマン多様体において, Hermitian-Tanno接続が存在する. この接続は長瀬正義氏によって構成された. Hermitian-Tanno接続を用いることで, Kohn-RossiラプラシアンやFeffermanスピン空間におけるDirac作用素などの研究において様々な結果が導かれる. 本講演ではHermitian-Tanno接続についての解説と, この接続から構成されるある種の不変量であるBochner型の曲率テンソルについて紹介する. このBochner型の曲率テンソルは, 長瀬正義氏と講演者の共同研究で得られたものである.


Speaker: 伊藤涼 (Ryo Ito) 氏 (東京大学)

Title: 進行波の最小速度の Young 測度による解析

When: 2018年1月26日(金) 17:10-18:00

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Abstract: 本講演では,KPP 型の非線形項を持つ反応拡散方程式を考察する.この方程式は生態学,集団遺伝学,疫学など様々な分野で空間的な伝播を伴う現象を記述する.本講演では特に,外来生物が侵入・拡散する現象に焦点を当てる.この方程式は,波面の形状を周期的に変化させながら進む進行波と呼ばれるタイプの解を持つ.また,それらの進行波の平均の速度のうちで最小のもの(これを「最小速度」と呼ぶ)が存在し,その速度はコンパクトな台を持つ非負の初期値から出発した解の波面の広がり速度(spreading speed)に一致することがわかっている.生態学モデルの観点からは,波面の広がり速度は外来生物の侵入速度を表し,この速度は外来生物の内的自然増加率に依存する.本講演では,内的自然増加率が光量や熱量などのコントロールできる環境パラメータに依存する場合について考え,環境パラメータの平均値が一定という制約条件の下で,広がり速度を最小化(あるいは最大化)する環境の配置を決定する問題について,得られた結果を紹介する.


Speaker: 伊藤孝明 (Takaaki Ito)氏(首都大学東京)

Title:トロピカル多項式関数半環におけるトロピカルイデアル

When: 2018年1月15日(月) 15:00-15:50

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Abstract: 体上の代数多様体をトロピカル化することで得られるトロピカル多様体は, 多面体複体の構造を持つ. 一方, トロピカル多項式半環のイデアルに対しても自然な方法でトロピカル多様体が定義されるが, 一般には多面体複体の構造を持たない. この問題に対して Maclagan らは, 特別なイデアルのクラスとしてトロピカルイデアルを定義したが, それらは生成する, 共通部分を取るといった操作ができず, 扱いづらいものであった.本公演では, トロピカルイデアルの定義の改良を行う.トロピカル多項式関数半環におけるトロピカルイデアルを定義し, 1変数の場合には生成する,共通部分を取るといった操作が可能であることを示す.


Speaker: 浦川遼介 (Ryosuke Urakawa)氏(早稲田大学)

When: 2018年1月15日(月) 16:00-16:50

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Title: Einstein方程式の数値計算における安定性の取り扱いについて

Abstract: 昨今、重力波の直接観測が多数報告され、重力波天文学の時代が幕を開けた。重力波がどのような現象で生じたのかを解明するためには、あらかじめEinstein方程式を解いて重力波の波形を予測する必要がある。Einstein方程式は発展方程式と拘束方程式に分解でき、拘束方程式を満たすように数値計算しなければならない。そこで、数値計算の安定性が問題になる。本発表では、重力とは何かからはじめ、拘束方程式の時間発展である拘束伝播方程式を用いた固有値解析による安定性の検証についてまで紹介する。


Speaker: 平木正俊 (Masatoshi Hiraki)氏 (筑波大学)

When: 2018年1月15日(月) 17:00-17:50

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Title: Some topics in topological dynamics

Abstract: In the first half of this talk, we discuss dynamical decomposition theorems. It is well known that a space X has at most finite dimension n if and only if X can be represented as a union of (n+1) zero-dimensional subspaces of X. Here we introduce ”dark spaces” and ”bright spaces”, and prove that if f is a self-homeomorphism of an n-dimensional space X with the zero-dimensional set of periodic points, then X can be decomposed into a zero-dimensional bright space of f except n times and a (n−1)-dimensional dark space of f except n times. In the second half, we study topological structures of inverse limits with upper semi-continuous set-valued functions. In 2004, W.S. Mahavier started certain studies of inverse limits. Since then, many topological properties of inverse limits of upper semi-continuous set-valued functions have been studied by many authors. In this talk, we introduce new indexes with upper semi-continuous functions, and new space ”stepwise space”. By using them we investigate some topological structures of such inverse limits.


Speaker: 浅井智朗(Tomoro Asai)氏 (埼玉大学)

When: 2017年10月24日(火) 17:45-18:45

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Title: 4階非整合初期値問題の自己相似解の存在

Abstract: 本講演では境界条件付きの一次元表面拡散流方程式の自己相似解の存在問題について考察する。自己相似解とは、空間変数と時間変数についてある種のスケール変換に関して不変な解のことである。本講演では上記の問題の自己相似解の一意存在を示す。応用として、自己相似解の漸近安定性についての結果も報告したい。本研究は東京大学の儀我美一教授との共同研究に基づく。


Speaker: 鈴木寛(Hiroshi Suzuki)氏 (国際基督教大学)

When: 2017年1月27日(金) 17:30-18:30

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的メディアホール

Title: 距離正則グラフの幾何/Geometries of Distance-Regular Graphs

Abstract: 距離正則グラフは、階数1の対称空間の離散版とも言われ、高い正則性をもった有限グラフで、組合せデザインや誤り訂正符号の理論を展開する空間としても、代数的組合せ論の重要な研究対象である。直径(最大距離)が大きいものは、有限体上の古典幾何などから構成されるものが、殆どであるので、分類が可能ではないかと活発に研究されている。しかし、どのようにグラフに幾何構造を定義するか、そのもとでの理論展開の方向性など、幾何との関係はまだ十分把握できていない。有限単純群の分類において、J. Tits による、階数 3 以上の球型(B,N)対の分類定理が果たした役割を担うものと同時に、その局所構造による特徴付け定理に相当するものを得ることが重要である。本講演では、まず、基本的な幾何構造として、完全正則クリークグラフ(Completely Regular Clique Graph)を定義し、知られた距離正則グラフの主要な部分がこの構造を持つことを紹介する。さらに、長さが限られた閉路の族をCとして選び、この幾何構造に関して、C-普遍被覆を定義し、それ自身が C-普遍被覆となる、単連結な距離正則グラフを決定する問題を紹介する。


Speaker: 平岡裕章(Yasuaki Hiraoka)氏 (東北大学)

When: 2016年12月14日(水) 17:30-18:30

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Title: 位相的データ解析とパーシステントホモロジー

Abstract:本講演では、位相的データ解析とパーシステントホモロジーについて解説する。パーシステントホモロジーとは今世紀に開発された「データの形」をマルチスケールで特徴付ける数学的手法であり、材料科学、脳科学、生命科学など様々な分野への応用が進められている。この講演では、パーシステントホモロジーについての基本的事柄から始め、確率論、多元環の表現論、統計学、逆問題など幾つかの数学分野との接点について解説する。その後、これらの数学的道具を材料科学へ応用する最近の試みについても幾つか紹介する。


Speaker: 岡本健太郎(Kentaro Okamoto)氏 (九州大学)

When: 2016年6月17日(金) 16:30-17:30

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Title: 組み紐のゼータ関数と結び目不変量

Abstract:有限集合上の力学系からゼータ関数が構成される。これは対称群の置換表現を用いることで行列式表示をもつことが知られている。対称群から組み紐群へ拡張することで、組み紐に対してゼータ関数が構成される。本講演では、この組み紐のゼータ関数の満たす性質や結び目不変量との関係を紹介する。また、多項式不変量であるAlexander多項式とJones多項式の間の関係をゼータ関数を通してとらえることができることにも触れる。


Speaker: 櫻井みぎ和(Migiwa Sakurai)氏 (茨城高専)

When: 2015年12月11日(金) 16:50-17:50

Where: 小山高専専攻科棟4F多目的ホール

Title: Examples of virtual knots with vanishing $n$-writhes.

Abstract: Satoh and Taniguchi define a numerical invariant called an $n$-writhe. This invariant induces a lot of virtual knot invariants such as an index polynomial, an odd writhe polynomial and an affine index polynomial. In this talk, we show that there exists infinitely many virtual knots whose $n$-writhes are all zero. This is a joint work with Sumiko Horiuchi and Yoshiyuki Okayama.


Speaker: 中尾充宏(Mitsuhiro Nakao)氏 (佐世保高専)

When: 2015年10月8日(木) 17:00-18:00

Where: 小山高専専攻科棟1F多目的ホール

Title: 「偏微分方程式の解に対する精度保証付き数値計算法」---近似から厳密解の検証へ---

Abstract :本講演では、非線形偏微分方程式の解に対する数値的検証法(精度保証付き数値計算法)について、講演者らによってこれまでに得られた結果を概観し、その 動向を探る。特に、有限要素近似に対する構成的誤差評価から厳密解の存在検証 にいたる基本原理を解説し、最近の結果も含めてこの分野の現状を述べ、今後の 課題を考察する。


Speaker: 岡部真也(Shinya Okabe)氏 (東北大学)

When: 2015年7月9日(木) 16:30-17:30

Where: 小山高専機械工学科棟201号室

Title: Convergence to equilibrium of gradient flow defined on planar curves

Abstract :エネルギー汎関数が最急降下する様子を記述する勾配流方程式においては、その解が時間大域的に存在し、かつ、適当な意味で一様に有界であることを確かめられる場合が多々ある。このとき、時間に関するある部分列に沿って解が平衡状態へと収束する、所謂、解の部分収束を示すことができる。しかし、解のダイナミクスを理解するうえでは部分収束は十分ではない。実際、同じ初期値から始まる解の収束先が一意であることさえ、部分収束だけでは示すことはできない。本講演では、平面曲線に対して定義される勾配流方程式について、「解が部分収束するならば、その解は時間部分列を介さずに平衡状態へと収束する」ことを示す手段について論ずる。なお、本講演は M. Novaga 氏(Pisa 大学)との共同研究に基づくものである。


Speaker: 大野泰生(Yasuo Ohno)氏 (東北大学)

When: 2014年10月23日(木) 16:50-17:50

Where: 小山高専機械工学科棟301号室

Title: 多重ゼータ値の線形関係式について

Abstract: Eulerはゼータ関数の特殊値を研究する中で、自然にその多変数版の研究に至り、いくつかの結果を残している。これらの結果に触れるとともに、近年知られるようになった多重ゼータ値の線形関係式や多重ベルヌーイ数の性質を、今後の課題とともに紹介したい。


Speaker: 土岡俊介(Shunsuke Tsuchioka)氏 (東京大学)

When: 2014年5月22日(木) 16:50-17:50

Where: 小山高専機械工学科棟201号室

Title: 対称群の次数付カルタン行列について

Abstract: 2007年に、対称群の正標数の体上の群代数には、非自明な次数付代数の構造が入ることが示された(Rouquier,Brundan-Kleshchev)。本講演では、対称群の次数付$p$-カルタン行列の(ユニモジュラー同値を除いた)表示式を与え、関連する話題を紹介する。


Speaker: 三柴善範(Yoshinori Mishiba)氏 (九州大学)

When: 2013年12月5日(木) 16:30-17:30

Where: 小山高専機械工学科棟201号室

Title: 正標数多重ゼータ値の代数的独立性について

Abstract: Kを有限体上の一変数有理函数体とする.Thakurは2002年に正標数多重ゼータ値を定義した.これはKの無限進完備化に値を取り,実数体に値を取る通常の多重ゼータ値の正標数類似を与えている.標数0のときと同様に,正標数多重ゼータ値の間にK上の関係式がどれくらいあるのかといった問題がある.正標数においては,関係式の存在はそれほど多くは分かっていない.しかし非存在性,つまり線型独立性或いは代数的独立性については,標数0の方では手の届きそうにない問題に対して,いくつかの結果がある.本講演では通常の多重ゼータ値について復習した後,正標数多重ゼータ値を導入し,その代数的独立性について得られた結果を紹介する.また,正標数多重ゼータ値がtモチーフの周期として現れること,及びそのような周期が生成する体の超越次数が適当な代数群の次元で表されることを述べ,代数的独立性がどのようにして示されるのかについても紹介する.


Speaker: 清水理佳(Ayaka Shimizu)氏 (群馬高専)

When: 2013年11月7日(木) 15:40-16:40

Where : 小山高専機械工学科棟201号室

Title: 結び目の領域交差交換とゲームについて

Abstract: 結び目の図式における領域交差交換とは、ある領域の境界上の全ての交差の上下を交換する局所変形のことである。領域交差交換は結び目図式の「結び目解消操作」である、すなわち、任意の結び目の図式を、有限回の領域交差交換によってほどけた結び目を表す図式に変えることができる。この結果を応用して、河内明夫教授、岸本健吾氏と講演者によって「領域選択ゲーム」というゲームが開発された。このゲームはスマートフォンのアプリ「Region Select」にもなっている。本講演では領域選択ゲームの数学的背景を、領域交差交換の研究とともに紹介する。

領域交差交換の結果の絡み目版はCheng-Gaoによって得られた。最近、早野健太氏、新庄玲子氏と講演者によって空間グラフの図式への一部拡張がなされた。時間が許せばこれについても紹介する。

参考文献

[1] 河内明夫, 岸本健吾, 清水理佳, 結び目理論とゲームー領域選択ゲームでみる数学の世界ー, 朝倉書店.

[2] A. Shimizu, Region crossing change is an unknotting operation, to appear in J. Math. Soc. Japan.

[3] 領域選択ゲーム: http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/math/OCAMI/news/gamehp/gametop.html


Speaker: 瀬川悦生(Etsuo Segawa)氏 (東北大学)

When: 2013年10月24日(木) 16:30-17:30

Where: 小山高専機械工学科棟201号室

Title: 量子ウォークの弱収束の極限定理

Abstract: 量子ウォークの原型は時空間離散版の自由粒子の相対運動を記述するファインマンチェッカーボードの中で既に現れている。数十年の年月を経て、2000年周辺に、量子探索アルゴリズムの立役者として量子ウォークは脚光を浴び、現在では分野横断的に着目されている。量子ウォークの観測により得られる統計的性質の漸近挙動は確率論でよく用いられる、弱収束の極限定理を用いることにより説明がつく。この弱収束による量子ウォークの典型的なクラス[1]を紹介する。時間があれば、最近得られた強ballistic性と呼ばれる量子ウォークの統計的性質[2]が、ゼゲークラスと呼ばれる単位円周上のローラン直交多項式の研究で現れる直交多項式のクラスと対応がつけられることを報告する。

[1] N. Konno, T. Luczak, and E. Segawa, “Limit measures of inhomogeneous discrete-time quantum walks in one dimension”, Quantum Information and Processing, 12 (2013) 33--53.

[2] Norio Konno, Etsuo Segawa "One-dimensional quantum walks via generating function and the CGMV method", arXiv:1305.1722.


小山高専アクセス

世話人:岡田崇 (so.okada@gmail.com)

懇親会への参加ご希望の際は、談話会の一週間前までに世話人までお知らせ下さるようお願いします。